京都、丹後は日本の中でもシルクの織物生産地として、大変有名な地域です。
丹後地域は伝統的で、かつ独自の生産背景を未だ続けている地域でもあります。
''おやばた''と''でばた''という言葉がありますが、親機が糸リスクを抱え生産調整をします。
出機が主となり生地を織り上げていくのですが、出機さんは個人宅に織機を抱えていて、
お家で織り上げていきます。
これは地域産業そのものであって、ローカルネットワーク全体で支え合って、
今もなお変わらずこのシステムで産業を守っています。
我々のお取引先様は主にレピア織機を使っています。
今となってはヴィンテージな織機です。
それは何故か。
まさに糸への拘りがそうさせています。
皆様ご存知のように古いマシンなので、所謂低速織機になります。
私達が使っている糸は世界的にみても、最も細い単位の糸を使って、
通常よりも甘撚りで作ります。(通常1mあたり250回撚りを150回に抑える。)
そして生産工程上、非効率な''かせぞめ''という方法で糸を染めます。
(チーズ染めと言われる方法では、甘撚りにした糸の良さをスポイルしてします。)
それは全て、シルクの糸本来の光沢と柔らかさを最大限に活かすためです。
その為、現代の高速織機で高密度で織ろうとすると糸が耐えられず切れてしまう。
その為に低速織機でなければなりませんでした。我々は、特殊な加工をせず最高級の蚕糸本来の良さに拘りました。
世界でもここまで拘って糸作りをするのは稀でしょう。
また生地密度は出機さんのレピア織機が対応する限界まで高めました。
動画にあるドットの生地でいうと
縦糸本数は1.5mあたり約15,000本。
緯糸は3cmあたり505本。
こうする事で繊細な糸が長く愛用できる生地に変貌を遂げます。
まさに、マスターピースコレクションに相応しい生地となります。